ペットセーバーの講習内容を盗用した講習会にご注意ください!

骨折・脱臼が疑われるときの固定と運び方

動かさない工夫、毛布や板を使った搬送、咬まれないための口輪

散歩中の交通事故や、ソファや抱っこからの落下。ペットが急に足をつかなくなったり、触ると激しく痛がったりしたら、骨折や脱臼の可能性があります。こうした場面で飼い主にできるのは「治すこと」ではなく、「悪化させずに安全に動物病院へ運ぶこと」です。

骨折・脱臼を疑うサイン

  • 片足を浮かせたまま地面につけない
  • 足が不自然な向きに曲がっている、左右で長さが違って見える
  • 触ろうとすると鳴く、うなる、かもうとする
  • 腫れている、皮膚が破れて出血している

見た目で骨折か脱臼かを区別するのは難しく、外から分からない内臓のけがを伴っていることもあります。交通事故の後は、元気そうに見えてもすぐに受診しましょう。

「動かさない」「無理に固定しない」が基本

骨折が疑われるとき、患部をまっすぐに戻そうとしたり、引っ張ったりするのは厳禁です。英国王立獣医大学(RVC)の飼い主向け応急処置ガイドでは、慣れない人が添え木や包帯で固定しようとすると強い痛みを与えるおそれがあるため、無理に固定しないよう呼びかけています。米国獣医師会(AVMA)の資料でも、不適切な添え木はかえって害になることがあるため、自信がなければ獣医師に任せるよう記されています。人用の痛み止めを飲ませることも避けてください。

飼い主にできるのは、ペットをできるだけ静かにさせ、痛い部分が揺れないよう支えることです。出血がある場合は、清潔なガーゼやタオルを当てて、必要以上に動かさないようにしながら病院へ連絡しましょう。

毛布や板を使った運び方

米国の獣医学の参考書として知られる『メルク獣医マニュアル』の飼い主向け解説では、けがをした動物を動かすときは頭・首・背骨の動きを最小限にし、平らで硬い板や厚い段ボール、たたんだ毛布で体を支えるよう勧めています。

  1. 小型犬や猫は、上ぶたが外せるキャリーや段ボール箱に、タオルを敷いてそっと入れる(狭い入り口から押し込まない)
  2. 中・大型犬は、毛布の上に体ごと滑らせるように乗せ、2人以上で四隅を持って運ぶ。板があれば担架代わりにする
  3. 車内では急ブレーキや揺れに注意し、運転する人と付き添う人を分ける

出発前に動物病院へ電話し、状況と到着予定時刻を伝えておくと、受け入れ準備がスムーズになります。

かまれないための口輪と、その注意点

痛みのあるペットは、大好きな飼い主にもとっさにかみつくことがあります。抱き上げる前に、市販の口輪や包帯などで作る応急の口輪で口元を保護することが勧められています。ただし、次のような場合は口輪を使わないでください。

  • 吐いている、または吐きそうなとき(吐いた物で窒息するおそれ)
  • パグやフレンチ・ブルドッグなど鼻の短い犬種(短頭種)
  • 胸や顔にけががあるとき、呼吸が苦しそうなとき(口輪で呼吸をさらに妨げるおそれ)

口輪をしたペットをひとりにしないこと、ハアハアと口を開けて呼吸できるよう必要に応じて緩めることも大切です。口輪が使えない場合は、タオルで体を包み、顔から離れた位置で支えましょう。なお、米国赤十字社は犬と猫の応急処置を学べるオンライン講座やアプリを提供しており、海外でも飼い主が事前に学んでおくことが重視されています。

まとめ

骨折や脱臼が疑われるときは、無理に戻したり固定したりせず、体を平らに支えて静かに運ぶことが基本です。かまれないための口輪は有効ですが、嘔吐時や短頭種、呼吸が苦しいときには使わないでください。

いざという時に落ち着いて動けるかどうかは、知識だけでなく「一度でも体を動かして練習したことがあるか」で大きく変わります。ペットセーバー講習では、犬や猫の救命救急法や応急処置を、実技で身につけることができます。全国各地で開催していますので、開催情報からお近くの講習会をご覧ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。ペットの様子がおかしいときは自己判断せず、すぐにかかりつけの動物病院や夜間救急動物病院に連絡してください。

参考資料

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